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矛盾について(その8) ブログトップ

8月4日(水) [矛盾について(その8)]

 イギリスの二枚舌外交を思い出します。イギリスは第一次大戦中に、ユダヤ人の経済的支援を得ようとして「パレスティナにきみたちの国を作ることを認める」と約束しながら、同時にアラブ人の協力を得ようと「パレスティナはきみたちの土地であることを認める」と約束しました。この二つの文は命題ではありません。事実を記述しているのではなく、したがって真でも偽でもありません。ただ自分の意思を表明しているだけです。これまで遂行文の例として上げてきました命名や遺言あるいは挨拶や命令はすべて「意思表明」と言うことができるでしょう。この場合も約束するという意思表明で、したがってこれらの文は遂行文です。
 さて、「邪馬台国は九州にあった」と「邪馬台国は近畿にあった」とが矛盾するように、「パレスティナをユダヤ人の土地と認める」と「パレスティナをアラブ人の土地と認める」も矛盾します。ユダヤ人に対しては「ここをユダヤ人の土地と認める」と約束し、同時にアラブ人に「ここをアラブ人の土地と認める」と約束することは、二つの約束が真っ向から矛盾することになります。約束の場合、約束する内容と約束するという行為は切り離せませんから(それが遂行文の特徴です)、約束という現実そのものが矛盾するのです。それが今日までパレスティナ問題として多くの流血を引き起こしてきたことをよくよく考えなければなりません。
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