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矛盾について(その22) ブログトップ

8月18日(水) [矛盾について(その22)]

 話題の映画『ザ・コーブ』について。この映画を作ったスタッフたちは大地町のある入り江(coveとは入り江のことです)の撮影にこだわります。それを阻止しようとする漁民たちと争いながら、どんな手段を使ってでもそこで行われるあるシーンを撮ろうとするのです。そこでは囲い込まれた多くのイルカたちが殺されます。それを何とかしてカメラに収めたい。
 ついに彼らの企ては成功して、密かに設置された隠しカメラで入り江がイルカの血で真っ赤に染まるところを捉えます。その映像は確かに衝撃的です。網の中のイルカたちが漁師たちの持つ長い槍のようなもので次々と突かれ、噴出する血で入り江全体が鮮烈な赤一色になるのです。
 あの映像を観た人の多くは「何て残酷な」と思うことでしょう。「何を見るか」が「どのように感じるか」を規定しています。でも、あの映像を作った人たちとすれば、まず「イルカ漁はとてつもなく残酷だ」という思いがあり、それが違法な手段を使ってでも入り江の撮影をさせるのです。「どのように感じるか」が「何を見るか」を規定しています。
 情報社会にあふれる映像を見るとき、それがどのような視角から撮られたものかに注意を払わなければなりません。その視角の背景には、ある意図、ある感情が潜んでいるからです。場合によっては、映像が偽造されたり歪曲されたりもします。考えてみますと、あの鮮烈な血の赤色だって技術的にいくらでも操作可能です。
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