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矛盾について(その94) ブログトップ

10月30日(土) [矛盾について(その94)]

 どこかにいるに違いない犯人を捕まえようとしています。ここで考えたいのは、この旅には果てがないのではないかということです。刑事が犯罪の捜査を行うときは、犯人逮捕で終るように思います。一件落着。しかし犯人が起訴され裁判になりますと、新たな犯人捜しが始まります。冤罪の可能性があるということではありません。犯人であることは間違いないとしましても、どうして彼はそのような犯罪をするに至ったのかを解明しなければなりません。刑事が調べるのは犯罪動機までです。犯人が人を殺したのは、物取りではなく怨恨だった、これが分かれば十分です。でも裁判では、なぜ彼は殺そうと思うほどの憎しみを抱くようになったのかを明らかにしなければなりません。刑罰を決めるときの情状に関係してくるからです。
 こんなふうにある犯罪の原因を探る旅はどこまでも続くように思います。もちろん実際にはあるところでピリオドを打つしかありませんし、情状を酌量するにはそれで十分でしょうが、厳密な意味ではその犯罪の真犯人はまだ捕まえられていないと言わざるをえません。というより、どこまで行っても捕まらないのではないでしょうか。なぜなら、ある結果にはある原因がありますが、その原因にもまた原因が、という具合にどこまでも遡及していくからです。念のために言っておきますが、こんなふうに犯罪の原因を追究することと、犯人の責任を問うことは全く別であって、たとえ犯罪のほんとうの原因が迷宮に入ったとしても、それが犯人の責任をいささかも軽くすることはありません。
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