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矛盾について(その140) ブログトップ

12月16日(木) [矛盾について(その140)]

 カントは他の誰彼を利用しなければ生きていけないという前提の上で、単に利用するのではなく、同時に目的として扱わなければならないと言っているのです。誰かを目的として扱うというのは、自分がその人のために利用されるということです。自分は相手を利用するが、相手も自分を利用する、そのような関係でなければならないということです。前の例で、他の人のものを勝手に持ち去るのは、ただ相手を利用するだけで、自分は利用されることがありません。相手を突き飛ばして椅子を確保するのも、さもなければ相手のものである椅子を奪うことですから、同じです。これらは理性の命令に背くことです。
 このように理性は、ただ相手を利用するだけで自分は利用されないという関係を禁止しますが、裏返して言いますと、自分が誰かに利用されることを承認すれば、自分が誰かを利用することは認められるわけです。代金を払って何かを手に入れることは、誰かが作ったものを自分のものとするという意味で誰かを利用していますが、代金を払うことで自分もまた誰かのために利用されるのを承認しているのですから、理性の命令に背いてはいません。同様に、自分の努力で椅子を確保することは、他の誰かもまた自分の努力で椅子を確保することを承認していますから、これも理性の命令に背かないでしょう。
 問題はこの後です。
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