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矛盾について(その597) ブログトップ

3月22日(木) [矛盾について(その597)]

 吉本隆明は、還相というものを、一旦浄土へ往ってからもう一度娑婆に還るというように普通に解釈するのではなく、正定聚という、もはや生ではなく、しかし未だ死でもない特殊な場所から現実の問題を振り返ってみることと捉えられないかというのです。そうすると、緊急の課題とは別に永遠の課題が見えてくると。
 「緊急の課題というのは、こちらからあちらへいく課題です。それでは永遠の課題とは何かといったら、ある社会的な事件があったら、その事件を、時間的にいえば未来、もっと親鸞的な言い方をすれば、浄土、あるいは死からの光線で照らし出してみなければわからない問題です」。
 どういうことでしょう。
 彼はおそらく愛煙家なのでしょう、煙草の話題がよく出てきます。煙草を吸うとガンになるから吸わないようにしましょうと言われる。これに彼は引っかかるのです。ぼくも煙草を吸っていましたから彼の言うことがよく分かります。煙草が身体に悪いことはよく分かっているが、でも吸いたいという思いはどうにもならない。
 煙草を吸うとガンになる確率が高いから吸わない方がいいというのはおそらく正しいでしょう。でも、それを分かった上で、それでも吸いたいから吸うのだというのもまた正しい。前者はこちら(生)からあちら(死)へいくときの発想で、後者はあちらからこちらを振り返るときの発想だというのです。何となくおもしろい。

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