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イデアの想起 [生きる意味(その141)]

(15)イデアの想起

 故郷の忘却と言えば、プラトンも「イデアの想起(アナムネーシス)」という面白い言い方をしています。イデアの世界とは、言ってみれば魂の故郷ですから、「想起」というのは、忘れていた故郷をふと想い起こすことです。
 例えば、美しい花に心を奪われて「あゝ、なんて美しい」と思う時、ぼくらはこんなに美しいものにはじめて出会ったように感じますが、その時ふと「あっ、待てよ、ぼくはもともと“美しさ”そのものを見ていたんだ」と想い出す。
 何かを知るということは、実はもうすでに知っていることを想い出すことだとプラトンは言います。ぼくらはもともと「美しさ」を知っているのだが、いつの間にか忘れてしまっている。それを美しい花を見ることでふと想い出すのだと。この話、神話的ですが、なかなかいい線いっていると思いませんか。

 「ふむ。ただ、忘れるとか、想い出すとか、何か心理的にすぎる説明だね。」
 「そう。ぼくも“想起する”という言い方には引っかかるんだ。想起する以上、誰かが想い起こすということになるが、美しい花を見て“あゝ、美しい”と思う瞬間を考えてみると、ぼくが“美しさ”を想い起こしているというより、“美しさ”がぼくという<場>に現れているという感じだからね。」

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