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『正信偈』を読む(その72) ブログトップ

空とは [『正信偈』を読む(その72)]

(2)空とは

 龍樹は空の思想家だと言いましたが、さてこの「空」をどう理解したらいいのか、いやはやこれは大変です。
 「有無の見を摧破(ざいは)せん」とありますが、これは、「有」にとらわれたり、「無」にとらわれることなく、ものごとをありのままに見れば、いかなる実体もなく、すべて「空」であるということでしょう。さてしかし、そうは言ったものの、話はあまりに抽象的でピンときません。これを高校生に教えるとなると、脂汗が滲み出てきます。われら凡愚には近寄りがたいとも言えますが、福岡伸一氏の現代生物学の力を借りて、少しでも近づいてみたいと思います。
 福岡氏によりますと、ぼくらの身体は日々ものすごいスピードで更新されています。皮膚や髪の毛などではそのことを実感できますが、身体の内部までみんなそうだと言うのです。筋肉、内臓、骨、脳に至るまで、ありとあらゆるものが日々新しく入れ替わっていると。ぼくらが外から取り込む食べものが分子レベルまで分解され、それが身体の隅々まで運ばれて、古いものと入れ替わるのです。こうして数ヶ月のうちに、身体はこれまでとは全く違うものに変わってしまう。外から見た目には何も変わっていないようですが、中身がみんな入れ替わっているのです。
 ぼくはこれを聞いて嬉しくなりました。長い間煙草を吸ってきましたので、さぞかし肺は大きなダメージを受けているだろうと思っていたのですが、煙草をやめて数ヶ月もしますと、肺の細胞はすべて一新されるはずですから、もうピッカピカの状態に戻っているでしょう。あるいは血管だって、ボロボロの状態になっていても、新陳代謝がうまくいけば、元の弾力性を取り戻している。徐々に老化していくのは何ともならないとしても、日々新しい材料に入れ替わっているというのは素晴らしいではありませんか。
 

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